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    <title>先憂後楽への道</title>
    <link>http://blog.b-map.net/</link>
    <description>◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
中部国際空港のある愛知県常滑市で活動中の中小企業診断士・久田 博司&lt;br /&gt;
のブログサイトです。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
このブログでは主に、私の本業とする「経営コンサルタント業」での経験に&lt;br /&gt;
基づき、中小企業の企業変革の姿を物語化していきたいと思います。&lt;br /&gt;
[週1回（土曜または日曜）の更新を予定しています→申し訳ありませんが、&lt;br /&gt;
現在多忙につき、隔週更新とさせて頂いております]&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
実話にヒントを得てストーリーを展開いたしますが、登場人物や出来事は&lt;br /&gt;
フィクションとなります。&lt;br /&gt;
文章力にはあまり自信がありませんので、出来る限り分かりやすく書きたい&lt;br /&gt;
と思います。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
なお、先憂後楽（せんゆうこうらく）とは“人の上に立つものは、皆が憂える前&lt;br /&gt;
に憂い、被害が皆に及ばないようにする。また事件が無事に解決し、皆が&lt;br /&gt;
安心して喜んでから、喜ぶべきである”という意味です。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
物語を通じて、リーダーシップの重要性や視点の切り替えの重要性などを&lt;br /&gt;
表現できればと考えています。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
左のLINK先ホームページやPROFILE欄に私の略歴等を載せていますので、&lt;br /&gt;
よろしければご覧下さい。&lt;br /&gt;
&lt;br /&gt;
それでは、よろしくお願いいたします。</description>
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    <title>第二五話　社内観察?</title>
    <description>多くの中小企業は計数管理に弱い。
中でもこの建設業界は、数字に甘い企業がゴロゴロしており、未だにドンブリ実行予算にドンブリ原価といった企業も珍しくない。

伊勢湾建設では月次の決算は行っているものの、それは毎月の機械的作業の１つに過ぎなかった。
一定日になると...</description>
<content:encoded><![CDATA[
多くの中小企業は計数管理に弱い。<br />
中でもこの建設業界は、数字に甘い企業がゴロゴロしており、未だにドンブリ実行予算にドンブリ原価といった企業も珍しくない。<br />
<br />
伊勢湾建設では月次の決算は行っているものの、それは毎月の機械的作業の１つに過ぎなかった。<br />
一定日になると月次の残高試算表（注１）を作成し始め、完成させたらそのまま役員室に回す、ただその作業を繰り返しているのみであった。<br />
つまり試算表を作成すること自体が目的となっており、本来何のために作成をしているのかについて、皆が正しく理解出来ていないのである。<br />
<br />
「数字の精度が低すぎる」「数字の確定が遅すぎる」といった状況で作成された試算表は、もはや無用の産物でしかない。<br />
的確な経営判断をもたらす資料とはなり得ないのである。<br />
<br />
青山は亀井の話を聞きながら、まずこの点を何とかしなければと感じていた。<br />
トップに正確かつ明確な数字がスピーディーに上がっていく、そのような仕組みができない限りは、いつまでも勘に頼った経営から脱出することが出来ないからである。<br />
<br />
（注１）残高試算表：すべての勘定の残高をひとまとめの表にしたもの。決算書は通常１年単位で作成されるため、会社で残高試算表を月ベースで作成することにより、毎月の損益の状況を正しく把握することが出来る。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-07-22T20:52:35+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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    <title>第二四話　社内観察?</title>
    <description>ある日経理課長の亀井と面談をした時のことであった。
「亀井さん、ここの月次の決算は毎月何日に出るんですか」
「はっきりと決まってはいませんが、大体１０日前後です」
意外と早いな、と青山は思った。
「とすると、今月の結果は月末に締めて、２週間ぐらいではっきりする...</description>
<content:encoded><![CDATA[
ある日経理課長の亀井と面談をした時のことであった。<br />
「亀井さん、ここの月次の決算は毎月何日に出るんですか」<br />
「はっきりと決まってはいませんが、大体１０日前後です」<br />
意外と早いな、と青山は思った。<br />
「とすると、今月の結果は月末に締めて、２週間ぐらいではっきりするわけですね」<br />
「いえ、今月の結果は来月ではなく再来月の１０日に出ます。来月出るのは、先月の結果です」<br />
亀井は自分の言葉に何ら違和感を持つことなく、さっと切り返してきた。<br />
「再来月？それでは月次の決算を出すために４０日もかかっている計算になりますよ」<br />
「はい・・・」<br />
亀井のトーンが突然弱まった。<br />
青山の反応を見て、何かの矛盾に気が付いた様子である。<br />
「月次決算（注１）に４０日もかかっていては、適正な経営判断など出来ませんよ。今月分として出てきた実績は、来月に活かせなければ意味がありません」<br />
「はい・・・言われていることはよく分かります。しかし、現状ではこれが手一杯なんです」<br />
亀井は少し焦った表情をしながら、青山に訴えた。<br />
<br />
（注１）月次決算：会社内部の経営管理に役立てるため、企業が毎月決算を実施すること。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-07-08T20:46:25+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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    <title>第二三話　社内観察?</title>
    <description>話を聞いているうちに、青山はあることに気が付いた。
彼らは他部署の批判をしているものの、皆意外なほどその攻撃対象である他部署の仕事の中身について知らなかった。
もちろんここで言う中身とは仕事の概要のことではない。
大枠は皆が答えられた。
問題はその「流れ」であ...</description>
<content:encoded><![CDATA[
話を聞いているうちに、青山はあることに気が付いた。<br />
彼らは他部署の批判をしているものの、皆意外なほどその攻撃対象である他部署の仕事の中身について知らなかった。<br />
もちろんここで言う中身とは仕事の概要のことではない。<br />
大枠は皆が答えられた。<br />
問題はその「流れ」である。<br />
<br />
この受注単価がどういう経緯でこの価格に決まり、なぜこの積算（注１）結果になり、なぜこの実行予算（注２）になったのか。<br />
こういった仕事の流れに、皆が無関心であることは明らかであった。<br />
自分のところにやってきた仕事は、文句を言いながらも淡々とこなし、次のセクションへと送りつける。<br />
彼らの不満も疑問も、結局はその場限りのものとして終わっていた。<br />
そうなれば当然に社内の情報も各セクションで分断されていく。<br />
いつの間にか皆が情報を仕舞い込んでしまう状態が出来上がっていた。<br />
決して社内の人間関係が悪いわけではない。<br />
ただ単に情報を共有するための仕組みがないことをこの時点で青山は見抜いていた。<br />
<br />
（注１）積算：工事の見積書の作成時に、図面・仕様書等の設計図書に基づいて建築物の数量を算出すること。<br />
（注２）実行予算：受注した工事について、工事の着工前に立てる原価目標のこと。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-07-01T23:17:16+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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    <title>第二二話　社内観察?</title>
    <description>青山はリーダー候補のメンバーと面談をおこなう前に、まず課長以上のクラスの人物から話を聞いてみた。

「“ウチ”が経営不振に陥った１番の原因はいったいどこにあるのか？」
青山が皆に同じ質問を投げかけると、
「公共工事の減少と落札価格の下落ですよ。最近は本当にどこ...</description>
<content:encoded><![CDATA[
青山はリーダー候補のメンバーと面談をおこなう前に、まず課長以上のクラスの人物から話を聞いてみた。<br />
<br />
「“ウチ”が経営不振に陥った１番の原因はいったいどこにあるのか？」<br />
青山が皆に同じ質問を投げかけると、<br />
「公共工事の減少と落札価格の下落ですよ。最近は本当にどこも厳しい状態ですから」<br />
と、皆が口を揃えたように言い返してきた。<br />
管理本部長の吉村にも尋ねてみたが、やはり答えはほぼ同じだった。<br />
<br />
また現在の問題点について尋ねてみても、<br />
営業部の人間は「ウチは見積り積算が高いため、競争入札で負けてしまい受注できない。もっと工事費単価を見直すべきだ」と言い、<br />
工事部の人間は「実行予算が厳しすぎる。そもそも儲からない工事が社内にゴロゴロしている。営業はもっといい仕事を取ってくるべきだ」と訴えた。<br />
<br />
つまり、悪いのはいつも「どこかの何々」である。<br />
「環境が悪い、他部署が悪い、上司が悪い、部下が悪い・・・」<br />
皆、自分以外の犯人探しに必死だった。<br />
<br />
青山はウンザリする気持ちを抑えながらも、彼らの話に耳を傾けた。<br />
とにかく最初は情報収集に専念するつもりだったからである。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-06-24T19:58:48+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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    <title>第二一話　社内観察?</title>
    <description>青山は部屋に戻ると早速、吉岡が目を付けた人間のリストに目をやった。
全部で6名の名前がリストアップされており、先ほど話をした中林の名前もそこにあった。
メンバー構成は30代から40代を中心とした比較的若いメンバーであった。

それを見て、青山は少しホッとした。
改革...</description>
<content:encoded><![CDATA[
青山は部屋に戻ると早速、吉岡が目を付けた人間のリストに目をやった。<br />
全部で6名の名前がリストアップされており、先ほど話をした中林の名前もそこにあった。<br />
メンバー構成は30代から40代を中心とした比較的若いメンバーであった。<br />
<br />
それを見て、青山は少しホッとした。<br />
改革を巻き起こすには、若いエネルギーがどうしても必要になるからである。<br />
最初は多少力不足であっても、彼らに力を吹き込めば少々のことは乗り越えてくれる。<br />
どの道「経営改革」となれば、伊勢湾建設の誰もが経験不足であることには変わりが無いのである。<br />
あとは人選にミスさえ無ければ、彼らを中心にハラを据えて改革を進めるだけであった。<br />
但し、この人選が曲者である。<br />
もし誤れば、改革そのものに致命的なダメージを与えることが分かっているからである。<br />
<br />
青山はとりあえず後日時間を取って、彼らと話をすることにした。<br />
もちろん彼らが改革のリーダーとして相応しいかを見抜くためである。<br />
改革のラウンドはまだ始まったばかりだ。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-06-10T20:44:15+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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  <item rdf:about="http://blog.b-map.net/?eid=649702">
    <link>http://blog.b-map.net/?eid=649702</link>
    <title>第二十話　社内観察?</title>
    <description>しかしそんな状況の中でも、明るい材料はあった。
僅かではあるが、青山に好意的な表情を見せる者もいたのである。
青山はもう一度全員の顔を見渡すと、黙って席に戻った。

会が終わるとすぐに、１人の男が青山に近づいてきた。
営業課長の中林であった。
中林は今年で36歳にな...</description>
<content:encoded><![CDATA[
しかしそんな状況の中でも、明るい材料はあった。<br />
僅かではあるが、青山に好意的な表情を見せる者もいたのである。<br />
青山はもう一度全員の顔を見渡すと、黙って席に戻った。<br />
<br />
会が終わるとすぐに、１人の男が青山に近づいてきた。<br />
営業課長の中林であった。<br />
中林は今年で36歳になる。細身の体型に短めの髪、スポーツマンタイプの明るい男であった。<br />
「青山さん。この会社、本当に良くなりますか？」<br />
素朴な疑問をそのまま青山にぶつけてきた。<br />
「可能性は十分ある。但し、みんなが本気にならない限りは無理だろう。中途半端な気持ちでの改革なら、結果は見えている」<br />
青山は中林の目を真っ直ぐ見ながら言い切った。<br />
中林はその言葉を聞いて、<br />
「ひょっとしたら、変われるのかも・・・」と感じた。<br />
この時点で明確な根拠などどこにもなかったが、何となくそんな気持ちになったのである。<br />
<br />
青山は少し立ち話をした後、中林の顔と名前を覚え、その場を後にした。<br />
これからしばらくは社内観察を静かに進めることを、青山は決めていた。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-06-03T20:21:31+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
<taxo:topics>
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    <link>http://blog.b-map.net/?eid=647740</link>
    <title>第十九話　社内観察?</title>
    <description>「伊勢湾建設はこれまで土木事業を主力として経営を進めてきました。しかし近年の公共工事の減少と価格の下落により、ここ5年間ずっと赤字が続いています。今後もこのような状況が続くのであれば、間違いなくこの会社の命は無くなるでしょう」
低く落ち着いた声が部屋中に...</description>
<content:encoded><![CDATA[
「伊勢湾建設はこれまで土木事業を主力として経営を進めてきました。しかし近年の公共工事の減少と価格の下落により、ここ5年間ずっと赤字が続いています。今後もこのような状況が続くのであれば、間違いなくこの会社の命は無くなるでしょう」<br />
低く落ち着いた声が部屋中に響いた。<br />
青山も意識的に少し大きな声で話をしていた。<br />
「私は改革の責任者として、やるべきことは全てやります。皆忙しいのに損をする、この不自然な状況を引っくり返すために真剣勝負で改革に挑みたいと思います。よろしくお願いします」<br />
<br />
まだ全体の見えないこの段階で、皆を相手につまらない説教をするつもりは全くなかった。<br />
ここで下手に押し込めば、最初から完全に危険分子扱いされることは分かっていたからである。<br />
<br />
青山は話を終え、一礼すると再び全員の顔をゆっくりと見渡した。<br />
少しでも彼らの心に響くものがあればとの思いもあったが、やはり予想通り多くの者の反応は冷めていた。<br />
「建設業の素人に改革なんて無理に決まっている」<br />
「また改革ね。どの道途中で頓挫するだろう」<br />
「まあ、とりあえず最初は様子見だね」<br />
彼らの表情を見れば、こんな声は自然と読み取ることが出来た。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-05-27T22:18:15+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.b-map.net/?eid=645469">
    <link>http://blog.b-map.net/?eid=645469</link>
    <title>第十八話　社内観察?</title>
    <description>青山が吉岡に誘われてから4ヶ月が経過した。

ギラギラとした日差しの照りつける7月の半ば、青山は伊勢湾建設にやってきた。
駅の中心部からは少し外れた、小さな高台に伊勢湾建設の本社はあった。
建物自体は2階建てであるが、会社の西側に何も障害物が無いことから、窓から...</description>
<content:encoded><![CDATA[
青山が吉岡に誘われてから4ヶ月が経過した。<br />
<br />
ギラギラとした日差しの照りつける7月の半ば、青山は伊勢湾建設にやってきた。<br />
駅の中心部からは少し外れた、小さな高台に伊勢湾建設の本社はあった。<br />
建物自体は2階建てであるが、会社の西側に何も障害物が無いことから、窓からは青く広がる伊勢湾の景色がよく眺めることができた。<br />
<br />
「取締役兼経営企画室長」、これが青山の伊勢湾建設での肩書きであった。青山に肩書きへのこだわりなどなかったが、外から突然やってきた改革者にとって、これが邪魔になることはないと言うことだけは分かっていた。<br />
<br />
中に入ると、最初に案内されたのは青山専用の部屋であった。部屋には机と椅子、そしてキャビネットが1台だけ置かれていた。本来は何かの仮置き場となっていたような殺風景な壁で、広さも6畳ほどの小さな部屋であったが、これまで現場で駆けずり回ってきた青山にとっては十分と言える広さであった。<br />
<br />
椅子に座ってしばらく待っていると、臨時の全体集会の知らせがやってきた。もちろん、会の目的の1つは青山からの挨拶にあった。<br />
会が始まると間もなく、進行役に促され、青山は皆の前に立った。<br />
グレーのスーツに紺色のネクタイ、背筋をピッと伸ばし、従業員全員を見渡しながらゆっくりと青山が話し始めた。<br />
<br />
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]]></content:encoded>
    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-05-20T20:13:08+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
<taxo:topics>
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</taxo:topics>
  </item>

  <item rdf:about="http://blog.b-map.net/?eid=643136">
    <link>http://blog.b-map.net/?eid=643136</link>
    <title>第十七話　救世主現る？?</title>
    <description>翌日の夕方、約束通り青山から吉岡に電話が入った。
吉岡は少し心配しながら電話を取ったが、青山が挨拶をする声を聞くと直ぐにそれが杞憂であることに気付いた。
「昨日の件、正式にお引き受けします。よろしくお願いします」
はっきりとした口調で、青山が告げる。
「こちら...</description>
<content:encoded><![CDATA[
翌日の夕方、約束通り青山から吉岡に電話が入った。<br />
吉岡は少し心配しながら電話を取ったが、青山が挨拶をする声を聞くと直ぐにそれが杞憂であることに気付いた。<br />
「昨日の件、正式にお引き受けします。よろしくお願いします」<br />
はっきりとした口調で、青山が告げる。<br />
「こちらこそお願いします。では、家族の方も大丈夫だったんですね」<br />
「ええ、意外なほどあっさりと。でも本当にありがたいです。これで頑張らない訳にはいきませんね」<br />
「そうですか。それなら安心しました」<br />
<br />
「ところで、吉岡さん。１つお願いがあるんですが」<br />
「何でしょう」<br />
「私がそちらに行くまでに、全従業員をよく観察しておいて欲しいんです」<br />
「観察？」<br />
「はい。これから伊勢湾建設を改革するにあたり、中心となって進めていくリーダー的存在がどうしても数名必要になります。そのために、目ぼしい人材をある程度ピックアップしておいて欲しいんです」<br />
「でもウチにそんな人材いますかね？」<br />
吉岡が心配そうに聞き返す。<br />
「役職も年齢も一切問いません。社長の目から見て、まずはやる気のある従業員を探してみて下さい。その人に少しのセンスと経験があれば最高です。もちろん私もそちらにお邪魔した時には、同じように探してみますが、その前に社長自身にこの作業を行って頂きたいんです」<br />
「なるほど、分かりました。じっくりと観察してみます」<br />
<br />
吉岡は電話を切ると、すぐに棚に押し込まれていた従業員名簿に目を向けた。<br />
「いよいよ始まるな・・・」<br />
期待と不安が交差する中、伊勢湾建設は長いトンネルの出口を今ようやく探し始めようとしていた。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-05-13T19:58:22+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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    <title>第十六話　救世主現る？?</title>
    <description>「分かりました、お引き受けしたいと思います。ただ、正式な回答は１日待って下さい。家族のこともありますし」
青山は今年で結婚５年目、今年４歳になる女の子も１人いた。
吉岡も２度ほど青山の家族とは会ったことがあり、ここでもたまにその話題で盛り上がっていた。
「え...</description>
<content:encoded><![CDATA[
「分かりました、お引き受けしたいと思います。ただ、正式な回答は１日待って下さい。家族のこともありますし」<br />
青山は今年で結婚５年目、今年４歳になる女の子も１人いた。<br />
吉岡も２度ほど青山の家族とは会ったことがあり、ここでもたまにその話題で盛り上がっていた。<br />
「ええ、それはもちろん。でも明日で大丈夫ですか？」<br />
今度は明らかに吉岡が驚いている。<br />
「はい、答えはほぼ出てますから。実は考えていたんです最近、この先のことを。40歳を目前にした今、再び勝負に出るにはいい機会だと思っています。最初は少し驚きましたけど、次の瞬間単純にやってみたいと思いました。もちろんやる限りは、真剣勝負になると思いますが・・・」<br />
<br />
その言葉を聞くと、吉岡は少し安心した様子で再び青山に話しかけた。<br />
「それにしても明日とは。決断が早いですね」<br />
「まぁ、そうですかね。でも会社のことは詳しく知らないにしても、吉岡さんのお人柄は良く知ってます。それだけでも、通常の転職に比べれば随分アドバンテージがありますよ。それに自分自身、迷ったときは進むことにしてますから」<br />
そう言うと青山は再び生ビールを注文し、ゴクリと半分まで飲み干した。<br />
気が付けば店内は満員の状態になっていた。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-05-06T20:36:10+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
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    <title>第十五話　救世主現る？?</title>
    <description>「今の状況を引っくり返すには、正直自分一人では力不足と感じています。そこで、経営的センスに長け、信頼のおける人間を自分なりに考えてみたんですが、どうしても青山さん以外は浮かびませんでした。これは私が以前から望んでいたことでもあるんです」
「どうでしょう、...</description>
<content:encoded><![CDATA[
「今の状況を引っくり返すには、正直自分一人では力不足と感じています。そこで、経営的センスに長け、信頼のおける人間を自分なりに考えてみたんですが、どうしても青山さん以外は浮かびませんでした。これは私が以前から望んでいたことでもあるんです」<br />
「どうでしょう、青山さん。是非ウチの取締役として来てもらえませんか？」<br />
「エッ」<br />
再び青山が少し驚いた顔をした。<br />
「取締役って、私まだ39ですよ」<br />
「今の世の中、珍しいことではないですよ。それに、このくらいのことをしないと青山さんも動きづらいと思いますし」<br />
「それはそうですが・・・社内で通りますか？」<br />
「正直、反発者の出る可能性はあります。しかし、そんな事を言ってられる状況では無くなってきています。ここで食い止められなければ、間違いなくおしまいですから」<br />
<br />
他人を巻き込む力は、熱意の量に比例する。<br />
吉岡の表情と語り口からも、その真剣さは十分青山に伝わってきた。<br />
<br />
やや混雑してきた店内に、白い煙がうっすらと広がっている。<br />
青山は少し天を仰ぐように上を見つめ、黙っていた。<br />
吉岡が「とりあえず、前向きに考えて下さい」と言い出そうとした瞬間、<br />
先に青山が口を開いた。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-04-30T07:46:36+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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    <title>第十四話　救世主現る？?</title>
    <description>カウンター席の隣に座り、冷えた生ビールを１杯飲み干すと、吉岡はすっと青山の方に目をやった。
「何かくるかも」
なぜかこの瞬間、青山は直感で感じ取った。

「実は今日、青山さんに頼みがあってここに来たんです」
吉岡がゆっくりとした口調で切り出した。
「やっぱり・・・...</description>
<content:encoded><![CDATA[
カウンター席の隣に座り、冷えた生ビールを１杯飲み干すと、吉岡はすっと青山の方に目をやった。<br />
「何かくるかも」<br />
なぜかこの瞬間、青山は直感で感じ取った。<br />
<br />
「実は今日、青山さんに頼みがあってここに来たんです」<br />
吉岡がゆっくりとした口調で切り出した。<br />
「やっぱり・・・しかし自分に頼みとは、いったい何だろう？」<br />
青山は頭の中でグルグルと考えを巡らせていた。<br />
「頼みですか？」<br />
「ええ、もう単刀直入に言いますね。青山さん、ウチに来てもらえませんか？」<br />
「エエッ！」<br />
驚いた青山が思わず大きな声を上げた。<br />
「伊勢湾建設にですか？」<br />
「ええ、そうです」<br />
「でも私、建設業界での経験なんて全く無いですよ」<br />
「もちろんそれは知っています。それも承知の上でのお願いなんです」<br />
青山はまだ少し驚いた様子で吉岡を見ている。<br />
「青山さんも少しはご存知と思いますが、ウチは今非常に厳しい状況です」<br />
「はい、それは大体」<br />
「ウチがここから這い上がるためには、何としてでも生まれ変わらなくてはなりません。その機会も、おそらくこれがラストチャンスになると思います」<br />
青山はただ黙って頷いている。<br />
吉岡はそのまま話を続けた。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-04-22T20:12:11+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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    <title>第十三話　救世主現る？?</title>
    <description>２人の話はまだ続く。
「では、それでも思惑通りにいかない場合はどうです？」
吉岡はあえて意地の悪い質問をぶつけてみた。
「十分ありえますよね。その時まず重要なことは、予めロスカットラインをはっきりと決定しておくことだと思います。どの時点で撤退するのかを明確に...</description>
<content:encoded><![CDATA[
２人の話はまだ続く。<br />
「では、それでも思惑通りにいかない場合はどうです？」<br />
吉岡はあえて意地の悪い質問をぶつけてみた。<br />
「十分ありえますよね。その時まず重要なことは、予めロスカットラインをはっきりと決定しておくことだと思います。どの時点で撤退するのかを明確にしておかなければ、ずるずると深みに嵌ってしまう可能性がありますから」<br />
「売るに売れず、止めるに止められなくなるってことですね」<br />
「はい。それと、もう一つは損失が出ている真の原因です。株の場合でいうと、突然の公募発表など短期的な需給の悪化懸念によって株価が下落することはよくあります。業績やお金の使い道さえしっかりしていれば、こんな時はさほど気にしなくてもいいと思います」<br />
「弱気になって手放すと、あとで結構戻ってきますからね」<br />
「そうなんです。でも中長期的な問題を抱えていた場合は深刻です。二度と取り返せない可能性が高いですから。会社の場合も同様で、投資から発生した赤字が将来の黒字ために必要なものであれば問題ありませんが、中長期的にも見込みが薄いと判断された場合には、一目散に逃げ出したほうが得策です」<br />
「逃げるが勝ちですか」<br />
「ですね。株も中小企業もひとたび逃げ遅れると、市場から即退場といった事態も珍しくありませんから」<br />
<br />
吉岡は青山のことを面白い男だと思った。<br />
少なくとも自分の周りにこのような話を振ってくるような人物は今までにいなかったからである。<br />
<br />
そしてこれ以降、２人はたまにこの焼き鳥屋に集まっては、株談義・仕事談義に花を咲かせていた。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-04-15T19:42:24+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
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  <item rdf:about="http://blog.b-map.net/?eid=629933">
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    <title>第十二話　救世主現る？?</title>
    <description>青山は今年39歳、吉岡とはひと回り以上も離れているが、初めて会ったときから２人は何となく気が合った。
お互いの趣味の１つに株式投資があったことも２人の話を弾ませた要因でもある。
初めて２人で飲みに行った時も、こんなやりとりが行われた。

「吉岡さん、株式投資って...</description>
<content:encoded><![CDATA[
青山は今年39歳、吉岡とはひと回り以上も離れているが、初めて会ったときから２人は何となく気が合った。<br />
お互いの趣味の１つに株式投資があったことも２人の話を弾ませた要因でもある。<br />
初めて２人で飲みに行った時も、こんなやりとりが行われた。<br />
<br />
「吉岡さん、株式投資って中小企業の経営と色んな意味で似ていますよね」<br />
「と言うと？」<br />
「はい。投資の鉄則は、まだ騒がれていない潜在力のある企業をいち早く見付け、投資を行い、皆がそれに気付き群がってきた時に、きっちりと売り抜け、新たな投資先を探ることです。中小企業の経営も、潜在的ニーズのあるニッチな市場をいち早く嗅ぎつけ、先駆者利益を叩きだし、多くの企業が群がってきた頃には、また新たな策を投下する。儲けるための仕組みは、ほとんど同じといえます」<br />
「なるほど、しかし思惑が外れて大損することもありますよね」<br />
吉岡が少し笑いながら切り替えす。<br />
「そうなんです。ですから、事前の情報収集がかなり重要になってきます。但し、株式投資に関しては、我々弱小投資家が騒いだところで大した情報は集まりません。その意味では、中小企業の経営の方が生の情報を集めやすい分、投資の成功確率は高いかもしれませんね」<br />
「生の情報か・・・」<br />
吉岡は内心、自分の会社に対し警笛を鳴らされているような気分になった。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-04-08T20:00:30+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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  <item rdf:about="http://blog.b-map.net/?eid=627665">
    <link>http://blog.b-map.net/?eid=627665</link>
    <title>第十一話　救世主現る？?</title>
    <description>苦しい状況下で「真の覚悟」のない者が中途半端に動いた時、勝負は既に付いている。
これは経営に限らず、どんなことにも当てはまるであろう。
覚悟を決め、その状況と真正面から対峙したとき、初めて復活の針は動き出す。
それが出来ない限り、最後は負け戦となってしまう。

...</description>
<content:encoded><![CDATA[
苦しい状況下で「真の覚悟」のない者が中途半端に動いた時、勝負は既に付いている。<br />
これは経営に限らず、どんなことにも当てはまるであろう。<br />
覚悟を決め、その状況と真正面から対峙したとき、初めて復活の針は動き出す。<br />
それが出来ない限り、最後は負け戦となってしまう。<br />
<br />
当時の苦い経験は今でも青山の脳裏から離れることはない。<br />
僅かばかりの自信とプライドもこの時１度は粉々に砕け散った。<br />
<br />
しかしこの負け戦は青山の人生にとって必要な戦いであったことは間違いない。<br />
負けて細ってしまう人間もいれば、それをエサに大きく成長を遂げる人間もいる。<br />
青山の場合は、明らかに後者である。<br />
負け戦の経験は精神的にはもちろんのこと、知識、行動力、判断力、全てにおいて彼を飛躍させる原動力となった。<br />
<br />
青山は今の会社に入ってからも、１サラリーマンとしてとにかくに懸命に働いた。<br />
元々現場での仕事には慣れていたし、知識もそれなりにあったため、入社後は割とスムーズに今のポストまで駆け上がってきたといえる。<br />
また休みの日であっても、興味を引くセミナーや講演などがあれば自腹で参加をして、自らの視野を積極的に広げていた。<br />
目の前にいる吉岡ともある講演会で隣同士になったことがきっかけである。<br />
「自分への必要投資は、いずれ10倍、いや100倍となって返ってくるであろう」<br />
「早いうちに自分の力を底上げする」、青山個人の明確なビジネスプランである。<br />
<br />
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    <dc:subject>小説</dc:subject>
    <dc:date>2007-04-01T22:38:32+09:00</dc:date>
    <dc:creator>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:creator>
    <dc:rights>久田　博司（ヒサダ　ヒロシ）</dc:rights>
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